茶店のカウンターから
「サカガミの向かいに新しい店ができるって！」
常連さんたちからもらう「猫に会った」とか「駅前でロケやってた」とかいつもの情報とそう変わらない調子で入ってきたその情報が、わたしの人生に大きく関わることを知ったのはごく最近のこと。
お店のオープン前から「奥さんが店内を装飾していた」とか「奥さんはインドに第二子を生みに行った」とか、お店のことより驚くべき内容の噂話が耳に入り、わたしはこの時既に「その人、好きだ」と思っていた。
第二子を出産して帰国したカーン未花さんと初めて話したのは、ムガルカフェでカレーを食べていた時だったと思う。
カーン未花さんを思い浮かべると、「いいじゃん！」とか「素敵～！」という肯定的な言葉と、その屈託のない笑顔がすぐに思い出される。彼女の笑顔に元気をもらうとき、自分も自分のできる笑顔でお客さんにこの気持ちをあげたいな、と思い自分の仕事を思い返すことも多い。
人間の脳みそは馬鹿だから、そんな気持ちをいつもくれる未花さんが店の前をベビーカーを引いてニコニコと通り過ぎるだけで、わたしはパブロフの犬のように毎度安心したような、嬉しいような気持ちをもらうことができるのです。
経営をし、子育てをし、旦那さんのサポートもする彼女の明るさみたいなものが、世界に存在するというだけで価値のあることだということ、ムガルカフェで美味しいカレーを食べるだけで感じられると思います。
しば田ゆき
公園に集う、ねこと人びと
染井銀座の中ほどにある、小さな公園。どこからともなくねこが集い、そこらじゅうにゴロゴロ寝ているので、私は「ねこ公園」と呼んでいる。
桜の木が一本あるくらいの、小さな公園。そんな公園のある朝の光景。
私は毎朝ここに来て、息子のダンゴムシ探しを見守る。
生まれたばかりの娘を抱っこして、ぐるりと公園をめぐる。あじさいがきれい。
階段に座って一服しているお姉さんがいる。いつも自転車でこの公園にやってきて、ねこを眺めながらゆっくりして、サッと自転車で帰っていく。
入れ替わりでコワモテのおじさんがやってきた。おじさんはねこにツカツカと近づくと、とたんに破顔して「かわいいでしゅね？」とねこに話しかける。そのギャップがいい。
息子はダンゴムシを袋に集め始める。
公園の裏に住むおばあちゃんがやってきて、公園の掃除を始めた。そしておもむろに私に話しかける。
「ここの公園には、区役所の人がたくさん花を植えに来ていたんだけど、年間二五〇万円もお花にかかるっていうの。だから私が、あじさいをたくさん植えてるの」
そういえばこの公園はいつの間にかあじさいだらけになっていたし、おばあちゃんの着てる服もあじさい柄。あじさいが好きなおばあちゃんだ。
大きい黒い猫が公園にやってきて、小さい三毛猫の隣に寝転んだ。
「小さい方がお母さんで、大きい方が子供」とおばあちゃん。
ダンゴムシを三匹も見つけた息子は、やっと保育園に向かう。
おばあちゃんもおうちに帰った。
そして公園にはねこだけが残る。
通勤前に一服したり、ねこを愛でに来たり、好きなあじさいを植えたり。舞台のように人々が行き交い、思い思いの時を過ごす。そんな人間たちを、ねこがゴロゴロしながら、見守っている。そんな公園。
織田博子（駒込在住のマンガ家）
こまごめ通信のゆるキャラが誕生！
駒込に住む、オスの三毛猫。
「北区、豊島区、文京区」の３つの文化がまじりあう駒込を、三毛猫で表現しました。
オスの三毛猫はとても貴重とされているそう。
どこにでもありそう、でも実は貴重な存在の街である、駒込にぴったりです。
illustrated by Oda Hiroko
桜柄は駒込限定と思いがち
心身ともに疲労困憊し、うつむきながらとぼとぼ歩いていたある日、道端に某キャラクター（カピ〇ラさん）が鉉匹、中心を向いて並んでるように見えた。数秒後、「あぁ桜か」と思い直し、ふっと笑顔が浮かぶ。
ハンドホールのあのデザイン。長らく「駒込ならでは」と思っていたが、そうではないと気づいたのは最近のこと。ソメイヨシノの桜柄で、てっきり駒込限定かと。しかしあるとき、練馬区で同じデザインのマンホール、ハンドホールを見つけ、最初は少し残念な気持ちになった。でも今は、他所で見かけると、桜の輪が駒込から広がっていったようで逆にうれしい。
それにしても、駒込は下を向いて歩いていても、元気をもらえる街なのです。
くれまちこ（駒込レベル中級ライター）
駒込を楽しみ隊
フェイスブックのグループ「駒込を楽しみ隊」では、日々駒込のホットなトピックスでいっぱい。
新しくできたお店や、見慣れた街並みの中の小さな変化・面白い情報などを知ることができます。
フェイスブックで「駒込を楽しみ隊」で検索してみてください。どなたでも参加できます。駒込を楽しみ隊のウェブサイトもご覧ください。こちらはこれから情報を充実させていきます。
編集後記
今号はこまごめＭＡＰの代わりに、こまごめ通信のゆるキャラ「ゴメス」が満を持して登場！お近くの谷中は猫の街として知られていますが、実は駒込も猫がいっぱい（しかも個性的な猫が）闊歩する街なのです。これからゴメスの成長＆活動を、こまごめ通信をベースに見守っていきます。みなさま、かわいがってください。
