こまごめ通信vol.25(2021年4月号)ができました

 駒込を愛する人びと「駒込人」が発行するこまごめ通信。駒込人お気に入りの人やお店、スポットを紹介します。
 やや早い桜が散ったあと、さわやかな初夏を感じさせる日々が続きました。こまごめ通信は三年目になり、「こまごめ通信本」②の発売が決定。コロナ禍でも、駒込は静かに花開いています。

ヒト・モノめぐり市

 快晴に恵まれた四月の日曜、しもふり商店街のcoma(MAP①)さんの店先で『ヒト・モノめぐり市』(vol.2)が開催された。『ヒト・モノめぐり市』はフリーマーケットや物々交換などを通じてご近所さんとの触れ合いを生みつつ、個々人のやりたいことをやりながら暮らしを楽しむためのプラットフォームを目指して始まった。

 当日は、駄菓子屋さんの菓子やくじに目を輝かせる子どもたち、子ども服を手に取り、着せた感じを思い浮かべながら、あれこれ話す子連れの家族やおじいちゃんおばあちゃん、各々の思い出が詰まった雑貨には様々な老若男女が、それぞれ気に入ったものを喜んで持ち帰る。

 商店街のど真ん中で、モノを介して会話が生まれ、実際にモノがめぐった。特別なことではないけれど、そこにはホッとするような、あたたかな時間がしっかりと流れていた。これからも街の日常に『ヒト・モノめぐり市』が寄り添っていられたら……と早くも次回のことを考えずにはいられない。

内野清香(ものづくり大好き駒込人)

ハードボイルドなカフェ

 

 MIDDLE GARDEN COFFEE STAND(②)。ビルのオーナーの葛さん、共同経営者の長谷川さん、バリスタの鈴木さんと、メンバーは男性だらけ。それに加え、朝十一時の開店と同時に入ってくる、商店街のお店のお兄さんや、ぶらりと現れる近所のおじちゃん……。男性、男性、男性。

 ミドルさんと私の出会いは、しもふり銀座の洋服屋Pany(③)の小林さんから教えてもらった「いきなりステーキ裏に、おしゃれなカフェのようなものがあるよ」という情報。早速行ってみてみると、お店の名前も書いていない、作りかけのカフェらしきお店があった。

 いろんな人に「いきステ裏にカフェみたいなのがある」と聞いてみても誰も詳細を知らない。名前も謎のままだったので「いきステ裏カフェ」と呼んでいた。
 二〇一九年十月の平日、「オープンしたらしい」という噂を聞きすぐに行ってみた。「昨日オープンしたんですよ」とお店の人は教えてくれた。このSNS全盛時代に、告知も宣伝もなくオープン。潔い。

 そしてその後語られた開店秘話を聞いて、その男気に惚れた。「一年半かけて、内装も自分たちで作った」。もともとはビルのオーナーと店子の関係だった葛さんと長谷川さんは、コーヒー好きが高じてついにカフェを作ったのだそう。「コーヒー好きの仲間と一緒に内装から店を作る」そのものの空間。これって男性だけでなく、女性も憧れちゃわないですか。

 普段お店に立つのはバリスタの鈴木さん。言葉数が少なく、修行僧のような見た目の鈴木さんは、コーヒーで雄弁に語ります。実はラテアートがかわいい。お店が忙しくなってくると長谷川さんが手伝いに駆り出され、さらに忙しくなると社長の葛さんも駆り出されてきます。カウンターに三人そろった時の光景は、ミドルガーデンさんのファンなら「おおっ」となるはず(私はなります)。

 全メニューを制覇した私のオススメは「ミルクブリュードコーヒー」。牛乳でコーヒーを抽出した濃厚なコーヒー牛乳。ガツンと濃そう、と思いながら飲むと、実は華やかな味わい。ギャップがすごい。

 見た目はハードボイルド、でも試してみるとそのギャップに驚く。まさに、ミドルガーデンさんを体現するコーヒーだとも思うのです。 

織田博子(こまごめ在住マンガ家)

思い出の銭湯

 かつてあった亀の湯(⑤)。今は駐車場になってしまったが、母が小さい頃よく行っていたらしい。祖父(母にとっての父)に連れられて男湯に入ることが多く、「おじさんたちはみんな優しかったよ。『よくあったまんだぞー』とか言って」と懐かしんだ。

 その当時の壁絵は富士山に松。内湯を持つ家が今よりもっと少なかった頃、銭湯は近所の人たちの社交場になっていたようだ。「番台近くにテレビがあって、『8時だョ!全員集合』を見たりしてたな。ちょっと裕福な子どもだろうけど、動物の顔をしたシャンプーボトルを持ってた子が羨ましかった!お風呂上がりにアイス(当時五円だったらしい!)を買ってもらったのが思い出。うれしかったな」と教えてくれた。

 私はというと、行こう行こうと思いながらついぞ行けず……。ただ、夏の夕立を亀の湯前のアーケードでやり過ごしたり、亀の湯横のコインランドリーで待機する人々を風景の一部として記憶したりしているだけだ。

 でも、こまごめにはまだ銭湯が残っている。息子を連れていったら、いつか彼も懐かしく思い出してくれるだろうか。彼が歩けるようになったら、一緒に行ってみようかな。


くれまちこ(駒込レベル中級ライター)

こまごめニュース

 二〇二〇年四月~二〇二一年三月のこまごめ通信を集めた「こまごめ通信本」②が、四月三十日に発売決定です!ぜひご覧ください。

こまごめ通信とは

 街を行きかうこまごめ人が、自分たちの好きな場所について静かに語る。こまごめへの愛をひっそり描く。

 この街で生活する人たちの息遣いが感じられるような、そんなコミュニティペーパーです。一年分の記事をまとめた冊子「こまごめ通信本①」は、フタバ書店(⑤)さんで販売中です。


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発行:こまごめ通信 編集部
編集:織田博子
校正:くれまちこ
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