こまごめ通信vol.28(2021年7月号)ができました

駒込を愛する人びと「駒込人」が発行するこまごめ通信。駒込人お気に入りの人やお店、スポットを紹介します。
 最近はよく「こまごめ通信読んでるよ」と声をかけていただきます。こまごめを愛する人たちが、こまごめ通信を通して新しいお店や人に出会っている。続けてきてよかったなぁと思っています。


都電

 子供の頃(六十年余り前)、駒込を走っていた都電のこと。
 本郷通りのこの都電は十九番系統で、「通り三丁目(京橋の手前)」から王子をつないでいました。その車庫は、まだ国鉄だったJR駒込駅の隣にありました。子供の僕らは都電の車庫(MAP①)で遊んでいて職員に見つかり追いかけられたり、ガムで職員を買収(!?)して中に入れてもらったりしたものです。

 王子の名主の滝へ町内の遠足で行く時に都電を使うなど、生活に密着していました。都民の日なんかは花電車が通ったり、パンタグラフがバチバチと放電するのもしばしばでした。

 都電に乗っていくと神田祭りの時なんかは神田明神の入り口で都電が神輿で動けなくなり、ぼくらは電車の中からお祭りを眺めたものです。途中途中の安全地帯ではお客が何人も立っていました。

 その都電が廃止になる日、僕は始発と終電に載りました。一九七一年三月、そのころには大学生でした。朝五時半始発の「通り三丁目」行き、早朝割引で往復三十円。通常は片道二十円でした。その夜、終電が車庫に着くと運転手に花束が贈られたり、カメラのフラッシュがたかれたりして大勢の人に惜しまれました。

BUN(ライター)

エネルギッシュなスーパーたじま

 駒込での毎日のお買い物、みなさんどちらに行かれますか? 我が家は「エネルギースーパーたじま」(②)さん派です。

 駒込に引っ越してきて、初めてたじまさんを知った時の衝撃は忘れられません。とぼけたお顔とマッチョな身体の対比が可愛らしい、看板のマスコットキャラクター。そして、購買意欲を誘うかのような明るい音楽。店先には色鮮やかなフルーツが所狭しと並んでいます。この佇まいに惹かれ、足繁く通うようになりました。

 たじまさんの地下に降りる道筋は、誘惑の連続。小腹が空いた時につまみたくなるようなおやつが並んでいます。地下に降りると、迎えてくれるのは野菜、肉、魚。エスカレーターを昇ると、卵や豆腐、調味料や乾麺など。そうそう、牛乳も忘れずに。最近は、フルーツ酢の「美酢(ミチョ)」を炭酸水で割るのがお気に入りです。いつも美味しそうなお惣菜も、たまに連れて帰ります。

 駒込に越してから買い置きするのを控えるようになったのも、どんな時もたじまさんがいてくれるという安心感があるから。我が家の家計、そして駒込の人々の胃袋をどんと支えてくれるたじまさんに感謝しています。

 たじまさんに寄る前後に、フタバ書店(④)さんに寄ったり、金魚たちに挨拶したり、お花を探すのも日々の楽しみです。日々のこうした小さなよろこびこそが、暮らしを生き生きと輝かせてくれるのですね。

 そういえば、たじまさんで流れている、あの明るい音楽。店頭と店内では、すこしテンポが違うんですよ。店頭がハツラツいきいき、店内が若干しっとりと落ち着いています。今度たじまさんに行った時に、聴き比べてみてください。

小暮(藤野)沙優(オペラ歌手、ライター)

初心者にもおすすめの店

 「細野商店」(⑤)で春の七草を買ったのが、私の「商店街デビュー」だったと記憶している。正月、重い腰を上げて買い出しに行くも、七種粥セットはどこでも売り切れていて、唯一取り扱っていたのが細野商店さんだった。

 まだ、たじまが二十四時間営業だったころ、帰宅時間が遅かった私は商店街を利用したことが無かった。もちろん仕事が休みの日もあるが、そういう日は外出したくないし、そもそも商店街の威勢の良さや賑わいが当時の私には怖かった。

 だが偶然、細野商店で買い物をすることになった、あの日。落ち着いた店内、きれいにカゴに盛られた野菜や果物たち、丁寧な手書きの値札……。特に会話することもなく、七種粥セットひとつだけ買って店を出た。

 今だったら「やー、助かりました! ここしか売ってなくて」とか、聞かれてもないのに自ら話しかけるところだが、商店街慣れしてない当時の私は「商店街=人情=誰彼構わず話しかける=特に欲してないものを買うことになる=怖い!」と、誤解に満ちたイメージを持っていたものだから、拍子抜けした。

 最近はよくバナナを買う。先日、こどもを抱えながら見ていたら、いつも寡黙な店主が「ちょっと待ってて! 奥に小さめのあるから」と、わざわざ新しいのを出してくれた。こどもが食べ切りやすいサイズを選んでくれた心遣いに、自然と笑みがこぼれる。

 過去の自分に言ってやりたい。商店街にある人情って、こういうことだよ。全然怖くないから、早く商店街デビューしないともったいないよ!

くれまちこ(駒込レベル中級ライター)

こまごめニュース

 先月号でゴメスが紹介したギャラリー「ときの忘れもの」さんにて、七月三十日(金)〜八月十四日(土)に『夏休み こども図書室 熊谷守一・五味太郎の絵本と版画展』が開催されるそうです。六月に開催された「元永定正もこもこワールドPart2」は駒込の親子連れがたくさん来場し、大好評だったそう。阿部勤さんの建築を自由に歩けるのも、このギャラリーの魅力の一つです。

二〇二〇年四月~二〇二一年三月のこまごめ通信を集めた「こまごめ通信本」②が、フタバ書店(④)さん他で発売中です!
 こまゴメスのinstagram(@komagomez_cat)、Facebookページは週三回、きままに更新中だニャ! こまごめ情報を網羅するゴメスのお散歩やおすすめをぜひチェックしてほしいニャ。

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こまごめ通信とは

 街を行きかうこまごめ人が、自分たちの好きな場所について静かに語る。こまごめへの愛をひっそり描く。

 この街で生活する人たちの息遣いが感じられるような、そんなコミュニティペーパーです。一年分の記事をまとめた冊子「こまごめ通信本①②」は、フタバ書店さんで販売中です。


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発行:こまごめ通信 編集部
編集:織田博子
校正:くれまちこ
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