駒込を愛する人びと「駒込人」が発行するこまごめ通信。第四号の今回は、特別拡大版として、少し変化球でお届けします。いつもの駒込人お気に入りのお店や人に加えて、夏にぴったりのレシピも紹介!ひと味違う「こまごめ」をご賞味あれ。
茶店のカウンターから
好きな洋食屋のマスターがいる。取材は基本お断り。
銀座の名店で修行したマスターの包丁は長くて重そうでかっこいい。わたしはいつも半端な時間に行くので他にお客がいることは少なく、いつも静かなマスターは二人になると面白い話をしてくれる。彼は業界では珍しくない「こだわり派」の人だけど、この店はランチ九百円でたっぷりと美味しいものを出している。手の抜き方がわかっているのだ。メニューの豊富さと、狭いキッチンと少ない調理道具と手捌きを見るだけで彼に見えているものの広さを知ることができる。道具は本格で、作業はプロなんだけど、どうしてこんなに庶民派のものを出せるのだろう、その魂は今どこにあるのだろうと思っていた。
時々話してくれる。彼はかつては超上級の肉を三千円で仕入れてステーキにして四千円で販売したり、何十時間も仕込んだオニオングラタンスープをクリスマスに出したり、そのような通が唸る食事を出していたという。「でも食べる人は分からないんだよ、その辺の肉と同じなの」そう言うマスターは寂しそうでもあり、でも世界をまだ捨ててはいないんだと言う気持ちをわたしは感じた。「ホットふたつ」と言われるとぎゅっと苦しくなる自分の気持ちと重ねてしまう。わたしは彼に世界がもっと健やかであるってことを見せたいと思っているし、それにはまだ時間がかかりそうだから、しばらく元気でいてもらわないと困るのであります。
しば田ゆき
駒込発のイタリアン
駒込には何でもある。住んでる街の良いところを説明する時、まず言うのは「徒歩十分以内にスーパー四店がある。そして八百屋さん、魚屋さん、肉屋さん、豆腐屋さん……。買い物には困らない!!」。ということで、駒込だけで買い物を済ましてイタリアンが作れるよ。巣鴨まで行けば成城石井もあるけど、いや、駒込から離れなくても十~分。
例えば、ズッキーニのサルシッチャ詰め。はい?ええ、サルシッチャ。日本でなかなか見かけない、スパイスやハーブの香りが効いたイタリアの生ソーセージ。駒込では買える。まぁ正直に本場とちょっと違うけど、かなり美味しい代替品だと思う。今回の材料はどこで買えるか載せちゃう~。
ズッキーニのサルシッチャ詰め
材料
ズッキーニ 2本
サルシッチャ 100g
卵 1個
牛乳で柔らかくした食パン 1枚
パルメザン 20g
ニンニク 1かけ・みじん切り
イタリアンパセリ お好みで・みじん切り
塩胡椒 適量
パン粉 適量
オリーブオイル 適量
・ズッキーニ ―― 「スターフルーツ(MAP①)」には基本的にある。ない時は、たじまに委せて。
・サルシッチャ ―― By「サカガミ(②)」。正式な名前は生ウインナーらしい。あらびきとバジル、二種類があって、個人的にあらびきが好き。たぶんこれを買うのは私しかいない笑(前に必要だった時、たまたま売れ切れで店員さんを裏へ取りに行かせたくらい笑。探していただいてありがとうございました笑)。
・卵 ―― まぁどこにもあるっすね。因みにイタリアなら赤玉。
・食パン ―― こだわりがないけど、サカガミの値引き品をよく購入させていただきます笑。
・イタリアンパセリ ―― 少量なら「マルエツプチ(③)」が最高。パックで買う場合は「エネルギースーパーたじま(④)」かサカガミ。
・ニンニク ―― スターフルーツだろう。
・牛乳 ―― お任せします。
・オリーブオイル ―― 調理用ならめちゃくちゃ高いオリーブオイルなんてもったいないでしょ。ちょうどいいのはたじまで。
・塩 ―― ヒマラヤじゃなくていいからどこでも。
・パルメザンチーズ ―― はい、これはイタリアから持ってきた笑。でも駒込でも買えるよ!サカガミとかで。高いっすよー笑。まぁ入れなくてもいいけどね。
作り方
ズッキーニを縦に半分に切り、スプーンで中心をくり抜く。くり抜いた中身を細かく切ってサルシッチャの身とパン粉、オリーブオイル以外の他の材料と混ぜ合わせる。このタネをズッキーニの中に詰める。パン粉とオリーブオイルをかけて、180度のオーブンで30分弱焼く。
いただきますー!
キアラ(イタリア料理研究家)
サカガミマニア
霜降銀座の中心に位置するスーパーマーケット「サカガミ」。ここは私にとって大変ワンダーな場所でありまして、簡潔ながらサカガミへの愛を語らせていただきます。その前に一寸ばかり自己紹介を。私は駒込在住の主婦でして、その昔、出版社で編集の仕事をしていました。その際、当時懇意にしていた某輸入食材店への愛が爆発してしまい、その店の本を作ってしまいました……というスーパーマーケット愛好家です。ということで、いざサカガミのお話です。
サカガミの棚はちょっと不思議です。一体何処で仕入れているの?と言いたくなるような商品がそこここにあります。それは決して大きくはない企業が注力した渾身の一品だったりします。醤油、酢など拘り抜いた調味料の充実ぶりには歓喜の声をあげてしまいます。個人的におすすめは千鳥酢と金笛醤油です。料理上手になった気分を味わわせていただきました。
また実店舗ではあまりみかけないレア商品に出会えるのもサカガミの醍醐味です。アシストバルール社の瓶詰めボルシチに出会えたのは幸運でした。このボルシチ、牛肉と一緒に煮込むと絶品です(精肉コーナーの和牛A5ランク切れ端がお買得ですよ)。ワイオラ社のココナッツウォーターや千本松牧場の砂糖不使用のコーヒー牛乳も見かけたら即買います。
さて熱く語ってしまいましたが後半はサカガミの核心に迫ります。サカガミを語るにあたって重要なのはプライベートブランド(以下PB)です。私スーパーマーケット愛好家としては「PBを制す者はスーパーを制す」をスローガンとして掲げております。サカガミのPB、オリジナル商品はと言いますと、自家製のパンやハム類、ジャムと力の入れように頭が下がります。私自身ジャム作りをライフワークとしているため研究をかねてジャムは国内外様々なメーカーを食してきましたが、サカガミオリジナル、右に出る者はいないのではないでしょうか。
そして忘れてはいけないのは乾物です。ここではサカガミの歴史が深く関わってきます。HPによりますと創業は一八ホ厲l年。一九二七年に田端銀座にて乾物屋を開店し、一九四八年に現在の駒込へ移転し昆布製造を始めたそうです。その名残か鰹節、昆布、海苔なども豊富でして高品質なものを安価で購入できてしまうのです。我が家の乾物はサカガミPBで揃えています。
ちなみに私が最もよく買うものは店先に配置されている焼き芋です。子どもも大好きで多い時は毎日二本は買い、月の芋代が八千円を超えたことも……。私が駒込に居ついてしまったのはサカガミがあるからと言っても過言ではありません。商品ばかり語りましたがプロフェッショナルな仕事をされるスタッフの皆さまにも敬服です。今日も行きました。明日も行きますよ!
* * *
追伸、私はお酒を飲まないので語れないのですが呑んべえの方にはサカガミは魔境ではないかと思われます。ポップに注目です。バイヤーさんに乾杯―完敗です。
マニアがよく買うPB&オリジナル商品
①焼き芋
②乾物
③ジャム
④畑のアンシリーズ
⑤おはぎ
⑥豆乳パン
⑦田舎パン
⑧生ソーセージ(キアラさんも書いているアレ)
諏訪満里子(スーパーマーケット愛好家)
【畑のアンさんど】
サカガミオリジナルの餡子「畑のアン」を挟んだ和菓子。がんばった一日のご褒美です。どら焼きのようでちょっと違う。原材料を見ると塩までこだわり抜いてます。濃いめの珈琲に合いますよ。駒込土産にも良いですね。
掘り出し物があるスーパー
当初、祖母の言う「大黒屋」が「エネルギースーパーたじま」とイコールだとは気づかなかった。
かつて駒込に住んだ祖母は今、埼玉県民。会うたびに「大黒屋、あそこ安くて良いでしょ」と話す。こちらとしては「大黒屋なんて無いけど、位置を聞くかぎり、おそらく今のたじまのとこにあったお店かな」と思いつつ、祖母の思い出に水を差さないよう心にしまっていた。
だが、駒込に越してきてから暫く経ったころ、たじまの店名脇に「大黒流通チェーン」と書かれているのを発見し、うれしくなった。
ポイントを貯めるシステムは、ちょっとしたカオス。ポイント鉉倍になる券、火曜日にスタンプを押してもらえるチューズデーマラソン、一定期間配布されるシールを貼ってポイント交換できる台紙など、さまざま!そこに加えて、ゾロ目市や冷凍食品半額デー、生鮮食品に二割引シールを貼ってもらえる月末日など、お買い得日も目白押しである。
ある日ポイント五倍日にカードを忘れ、無念に思っていたら、店員さんは涼しい顔で「五倍にしてください」とレシートに書き添えた。おかげで後日、五倍ポイントをゲットできたのである。寛容な店員さんに感謝感激!
そんな魅力たっぷりの「たじま」では、ときどき掘り出しものがある。印象深いのは「フルーシュ」(北欧発のスムージー、濃厚でとても美味)。もう、三年も前のことだが、他の高級スーパーやおしゃれセレクトショップ、パン屋などでは、同じ商品が倍以上の値段で売られていた。思わず、買い占めて転売しようかという考えがよぎったくらいだ。
もしやフルーシュの価値を知らないのでは?と、一瞬疑ったが(失礼!)、破格の値段は駒込民に対する愛かしらん?いや、きっとそうに違いない!
年中無休、24時間営業で「エネルギースーパー」の名を体現するたじま。とっても有り難いけど、ときどきその働き方が心配になる。エネルギーもう少し小出しでも良いから、末永くお付き合いよろしくお願いします!
くれまちこ(駒込レベル中級ライター)
駒込を楽しみ隊
フェイスブックのグループ「駒込を楽しみ隊」では、日々駒込のホットなトピックスでいっぱい。
気になっていたけど入ったことのないカフェや、何年も通っているスーパーなのに知らなかった商品などを知ることができます。
フェイスブックで「駒込を楽しみ隊」で検索してみてください。どなたでも参加できます。駒込を楽しみ隊のウェブサイトもご覧ください。こちらはこれから情報を充実させていきます。
編集後記
今号は特別拡大版として情報盛りだくさんでお送りしました。
さて、次は親子で楽しめる「こまごめラジオ」が始まるみたいですよ!キックオフミーティングは七月十三日(土)十五時〜開催します!場所は「カフェhahaco」(豊島区駒込一ー八ー八)電話番号:03-6902-0664