こまごめ通信vol.73(2025年6月号)ができました

 「こまごめ」を愛する人びと=「こまごめ人」が発行するこまごめ通信。こまごめ人お気に入りの人やお店、風景を紹介します。

 今月号は「こまごめぐるぐる」企画第六弾。こまごめのお店を編集部が取材して、店主やオーナーの想いをお伝えします。今回は、第五回の取材店「ダ・ノブ」さんからの紹介で、「なりきや」さんにインタビュー!

こまごめぐるぐる vol.6 なりきや

なりきやは家族の肉屋
 なりきやの店頭に立つのは四代目店主の田中秀明(たなか ひであき)さんと妻の昌江(まさえ)さん、秀明さんの妹の市川宏江(いちかわ みちえ)さん。
 秀明さんのおじいさんが田端でお店を始めたのは1924年、去年でなんと創業100周年を迎えた。田端のお店はなくなってしまったけれど、 二店舗目として立ち上げた駒込も開店から七十年ほどが経つ老舗。ずっと家族でお店を運営してきた。

良い素材を使うのが一番
 牛肉、豚肉、鶏肉。扱うお肉それぞれ、こだわりを持って仕入れている。
 牛肉は最低でもA5 ランク。豚肉は、岩手県産の岩中豚というプロの料理人からも選ばれている銘柄豚。鶏肉は、煮炊きしてもやわらかくおいしい地養鶏の中から二種類程度、厳選して採用している。

おいしさに徹底的にこだわる
 お肉はもちろん、お肉以外のお惣菜も、自分が食べておいしかったものだけを商品にする。クオリティには自信がある。「もっといいもの・おいしいものを」と、商品はいつもアップデートを続けている。
 「食べるのが好きな家族なんです」秀明さんが言う。家族で色々なお店で外食をして、おいしいと思ったメニューを再現してみたり、シェフと仲良くなってレシピを教えてもらうこともある。

 妹の宏江さんは家族で通っていた和食料理店の主人から、料理の基礎を教わったプロ仕込みの腕前で、中華も洋食もなんでも得意。本人は「主婦歴が長いから」と笑う横で、昌江さんが「宏江さんのお仕事は本当に丁寧。ささみの筋の処理の仕方もすごくキレイだから、赤ちゃんの肌みたいでしょ」とつるつるでぷるぷるに輝くささみを見せてくれた。
 「主婦目線でやってるだけなんだけどね」と宏江さんが手際よく下味をつけるのは若鶏香味焼き用。こちらも並べるとすぐに店頭から消えてしまう人気商品だ。

母がはじめた水曜限定のシュウマイ
 なりきやの目玉商品の一つであるシュウマイは、水曜休みのお店が多い商店街の目玉商品をと秀明さんのお母さんが作り始めたもの。脂の配合や、片栗粉の使い方にも秘密がたくさん詰まった一品で、なんとここにもこだわりの岩中豚が使われている。シュウマイを包むのは、三代目の秀雄さん。素材を生かしたシンプルな味付けで、何もつけなくても甘みと旨味を感じられるこのシュウマイには、何度でも食べたくなる魔法がかかっている。

ピカピカの厨房
 なりきやの店舗は、かつて魚屋さんだった店の半分を買い取って改装したもの。お肉のショーケースの後ろには厨房が細長く続いている。この厨房は、お肉の卸問屋の営業の方などがお店に入ると「床に鞄を置けるくらいキレイ」と驚くほど、などがお店に入ると「床に鞄を置けるくらいキレイ」と驚くほど、どこも ぴかぴかに磨かれている。
 「汚いのはキライだからね」と秀明さんは当たり前のように言う。
 なりきやが給食用の食材を提供していることを知っている人はどのくらいいるだろうか? 現在は近隣の小・中学校のみだが、以前は駒込病院とも取引があり、高く評価されていたその清潔さはお墨付き。

空気がいいってこういうお店
 家族で経営する、このお店のことを、秀明さんは「うちは女性がまわしているから!」と言う。お店で出すお惣菜の味に対しても、一番厳しくチェックしているのは身内で、味が安定しないとよく怒られたそうだ。妹の宏江さんの料理の腕前にはみんなが一目置く存在。妻の昌江さんは「お嫁に来たときは豚が食べられなかったの。でもこのお店のは全然違うから」とほほ笑む。
 家族で営むお店らしい関係の近さと、同時にそれぞれへの尊敬がある。
 今日も商店街の入り口から、おいしくてあたたかい風が吹いている。

インタビュー・文・絵 ぬみぃ

ゴメスのこまごめでおかいもの(4コマまんが)

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