こまごめ通信vol.9(2019年12月号)ができました

駒込を愛する人びと「駒込人」が発行するこまごめ通信。駒込人お気に入りの人やお店をご紹介します。

 師走に入り寒さ増し増しですが、駒込界隈はアツいですよ!小さなまちでも歴史があります。まちの記憶をたどりつつ、時にグローバルな駒込を、みなさん旅してみませんか?

こまゴメスのこまごめでお買い物 vol.4 伝説のレシピ

レトロフィッシュカフェ

茶店のカウンターから

 この秋になくなってしまった古いビルがあります。「円池荘」通称「マルイケハウス(①)」。

 百塔珈琲屋Shimofuriがオープンしたばかりの秋から、その人はよく通ってくれていた。華奢な身体にさらっとした布を纏った女性で、好奇心旺盛な目を印象的に思ったことを覚えている。

 マルイケハウスでギャラリーカフェを経営していた彼女の口からしれっと出てくるのは、当時まだ小さかったairBnBをやっているという話、ネパール人と暮らしているという話、カナダにワーホリに行くという話、銭湯でライブ企画を毎年やっているという話。決しておしゃべりでもアウトゴーイングでもない(いい意味で)彼女は、手の届く範囲でとても面白いことをやっていて、自分のちっぽけさに恥ずかしい思いがした。

 千尋さんの周りに行くと必ず面白い人がいて面白いことがあって、そういう彼女の嗅覚と行動力を見て世界はもっと面白くできると思えた。「六義園しかない」と思っていた駒込について、わたしがもっと面白がることができると思い始めた最初は明確に彼女とマルイケハウスだった。

 今や街の開発が進んでいて、建物もどんどん壊されてしまう。それでもそこに生まれ育った人は変わらずそこにいて、そこに綴られた思いとか記憶はなくならないと思います。

 マルイケハウス、おつかれさまでした。これからも駒込を面白がり続けることができると、彼女のおかげで今も思っています。

しば田ゆき

駒込の大いなる母

うちの子ども達は駒込で生まれました。駒込で60年続く「加塚医院(②)」です。大先生と呼ばれる年配の先生、大先生の息子さん、娘さんが産婦人科医、息子さんの奥様が内科医という医師一家で営んでいるアットホームな病院です。

 上の子の妊婦健診の際からずっと気になることがありました。大先生の診察の際、いつも隣にいる医療スタッフの方です。あうんの呼吸で大先生をサポートし、いつも柔らかな笑顔と声かけで安心させてくれる上品な年配の女性。大先生の奥様ではないかしら?と思っていたのですが、聞いてみるのも野暮と思いそのまま時は流れました。

 そして昨年、二人目の出産後にふと助産師さんに聞いてみました。「大先生をいつもサポートされている方は大先生の奥様ですか?」と。助産師さんは「そうですよ!大先生をサポートできるのはあの方しかいません」と。

 やはり大先生の奥様で先生方のお母様。今までの謎が晴れたとともに、この女性が女神様のように思えてきました。

 産科の開業は想像を絶するくらい大変だと思います。昼夜問わずに激務なうえ訴訟リスクは高く、現に豊島区でもお産を取り扱っている個人医院は二院しかないのです。何千人もの赤ちゃんを取り上げた大先生を支えて、二人の産科医を育て次世代に繋いだ。おかげ様でこれからも駒込でたくさんの赤ちゃんが生まれます。まさに駒込の大いなる母ではないですか。

 入院中の回診も家族で。家族仲が良いのが伝わってきました。二人目の出産時、医師親子三人で来てくれて嬉しかったなあ、一生忘れないなあと温かな気持ちで書きました。子どもは四歳と一歳になりました。

諏訪満里子(三年寝太郎編集者)

台湾キッチンかのか(③)

 駒込駅東口徒歩3分くらいのところ、台湾出身の老夫婦で営まれていて、いつもベビーカーを押して入っていくのですが、どことなく家庭的な温かさがあって雰囲気がお気に入りです!

 料理は奥様担当で、卵とトマトのシンプルな炒めものなのに、どうしてこんなに美味しくなるんだろう?と。分かりやすい旨味じゃなくて、もっと家庭的な味(大げさだけど)を感じて、お腹も心も満たされます。

 旦那様はウェイターさんで、「赤ちゃんかわいいね」と優しく声がけしてもらうのも嬉しくて、ついランチで迷うと足が向いてしまいます。長年連れ添っているご夫婦の雰囲気もとっても素敵な味になっています。

玄間智子(「こま通」イベント参加者)

駒込を楽しみ隊

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